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「夫、主人、旦那・・・それとも私の男?!」

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オランダ語では自分の夫のことをmijn man(メイン・マン、英語にするとmy man )、妻のことはmijn vrouw(メイン・フラウ、英語のmy woman)と言い、かなり直接的な言い方をする。自分の夫を紹介する時に「私の男です」と言うのにためらいを感じるのは、頭の中で日本語訳がチラチラするせいかもしれないが、それにしても所有欲の強い響きだ。だがこの表現はオランダに限ったことではない。お隣のドイツでも、夫のことはmein Ehemann、妻はmeine Frau、(私の男、私の女)とやはり直接的にズバリと言う。

さて、南ヨーロッパの国ではどうかと言うと、イタリアでは妻はmia moglie、夫はmio marito、スペインでは妻はmi esposa、夫はmi maridoというように日本語や英語と同じく「夫」や「妻」に相当する言葉がちゃんと存在している。これも宗教上カトリックの影響が強く、伝統的家族の価値観が依然として存在しているせいだろう。

では、フランスは?と聞いてみると、こちらはちょっとアンバランス。夫に対してはmon mari(モン・マリ)とその響きも可愛く、意味も日本語や英語でいう「夫」=husbandと同じだが、一方で妻のことはma femme(マ・フェム)、オランダやドイツ同様に「私の女」という表現だ。(*注:フランス語には妻=épouses という単語もあるが、現在はあまり使われていない。) 女性にとっては結婚後に相方が「男」から「夫」に変わるというのに、男性にとってはいつまでも「私の女」ということだろうか? (この辺り微妙。)

そう言えば、つい先日、フランス大統領選で勝利を挙げたオランド氏にしろ、大統領の座を追われることになったサルコジ氏も、私生活はかなり華やか。新大統領オランド氏の前妻は辣腕政治家で知られるロイヤル女史、彼女は前回の大統領選でサルコジと競ったことがあるほどの才媛だ。その彼女との三十年間の結婚生活に終止符を打ったオランド氏は、数ヵ月後に11才年下の元ジャーナリストのヴァレリー夫人と再婚した。一方で今回の大統領戦に敗退したサルコジ氏の方も、ご存知のように現夫人はソングライター、歌手、女優、ファッションモデルとして知られるカーラ・ブルーニさん、実家は大富豪ときている。このサルコジ氏も過去に二度の離婚暦がある。前妻は議会のアシスタントを勤めていたこともあるセシリアさん、彼女は3年前リビヤに収監されていたブルガリア看護婦とパレスチナ医師をカダフィ将軍から奪いかえした程の女性、かつてはファッションモデルもしていた。その上、お祖父さまは作曲家のあのアルベニスという家柄。
こんなに優秀で美人なパートナーがいても常に「私の女」を求めるフランス。家庭の中で安定した「妻」や「奥様」は必要とされないのだろうかと思えてくる。(*注:もちろん女性の方も、男性に常にステキ、かつセクシーであることを要求しているのであります!)

さて、こうしてみると興味深いのが日本。「夫」の名称は、主人、旦那、亭主、ウチの人etc、妻に対しては、奥さん、女房、家内、最近では「ウチの嫁」なんていうのまであって多種多様。それぞれに家庭内での役割がしっかり定着しているからとも考えられる。この話をオランダ人の友人にしたところ、「結婚すると女の地位・役目が変わるの? 離婚した後はそれぞれ地位(?)を失って呼び方が変わるの?? どうやって使い分けるの???」と理解できない様子。さらに彼女たちはこう続けるのです。――日本では結婚後には、「男」と「女」はどこにいっちゃうの?

国の言語によって表現が違うのは当然だが、言葉の違いは時として価値観の違いにも繋がる?・・・と思える話であります。

[お詫びと訂正]今回の特派員報告で、フランス次期大統領のオランド氏のパートナーをヴァレリー夫人と紹介しましたが、二人の関係は公に発表されているものの、実際には結婚していないカップルとのこと。フランスのファーストレディーをめっぐっては、婚姻関係のないパートナーをファーストレディーとして認められるかどうか、世界中で議論を呼びそうだとのことであります。

  • 小橋敦子 (ジャズピアニスト、翻訳家)
  • www.atzkokohashi.com
  • 2005年よりオランダ、アムステルダム在住

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