トップ »  特派員報告  »  さようなら、マドモアゼル!

さようなら、マドモアゼル!

20120301melle.jpg

フランスのフィヨン首相は2月23日、今まで未婚女性に対し使われていた敬称「マドモアゼル」を今後同国の行政文書に使用しないと発表。今後、公的な書類から「マドモアゼル」は消去され、女性を示す性別欄は「マダム」で統一されることになった。男性は従来から一律で「ムッシュ」となっているのに対し、なぜ女性だけが既婚、未婚で区別されるのか、性差別ではないかとの訴えがあったからだ。

このニュースを受けて各国メディアはちょっとした騒ぎとなり、英国国営放送BBCはパリでの街頭インタビューまで報じた。「若いあなたがマダムと呼ばれるのに抵抗はありませんか?」との質問に「べつに、なんとも思わないけど」と、さらりと応える若い女性が目立った。米国のNYタイムズも「さらば、マドモアゼル」のタイトルで記事を紹介、日本でもフランスの「マドモアゼル」との別れを惜しむような言葉をチラホラ耳にするのだとか。

では、ここオランダでは?といえば、そんなニュースに驚くどころか、「何を今さら・・・」という反応だけ。それもそのはず、オランダではもう何十年も前から女性は既婚・未婚を問わずMevrouw(ムフロウ)。男性はDe heer(デヘール)。かつては未婚女性にはJuffrouw(ユフロウ) が使われていたが、すでに死語だそうだ。Mevrouwは宛名だけでなく、全ての女性に対する呼称になっている。オランダに限らずドイツでも、昔は若い女性のことをFräulein(フロイライン)と呼んでいたが、今やそんな言葉を使う人はなく、女性は全てFrau(フラウ)で統一されているという。

なるほど周りを見回してみると、オランダには(ドイツもでしょうが)「結婚」という形にこだわることなくパートナーとして一緒に暮らし、子供が生まれても結婚しないカップルがかなり多い。「二人の関係は国の法律によってコントロールされるのでなく、自分たち自身で決める」という進んだ考え方もあるようだ。こうなると、未婚・既婚で敬称が違うというのもおかしな話。女性としての価値は未婚・既婚で問われるものではない、ということだろう。もっとも、中年を過ぎても結婚していないからといって「お嬢さん」と呼ばれるのも失礼な話よ、との声も。その上、オランダではその昔、まだ階級制度の厳しかった時代には、身分の低い女性は結婚してもMevrowと呼ばれることなく、永久にJuffrouwだったのだとか。日本がかつて、奉公人の「しん」や「キク」は結婚しても○○夫人とは呼ばれず、「おしん」もしくは、「おキクちゃん」のままだったのと似ている。オランダの若い女性たちも、今さら「お嬢さんJuffrouw」と呼ばれたくはないのだそうだ。自立した大人の女性であることを誇りに思っている。

フランスの今回の決定、女性の権利、地位の向上を考えれば、ごく自然なことだといえるのだろう。とはいえ、南ヨーロッパのカトリック系の国々では、スペイン、イタリアなどを含め、既婚・未婚によって敬称が区別されるところがまだ多い。アメリカでさえも、ミセス、ミスは依然として存在し、中間を取ってミズといった繊細な配慮が感じられる程。この話題、単なる敬称の話だけではなさそうだ。

さて、こうしてみると、一番進んでいるのは「日本」ということかもしれない。男性も、女性も、既婚も、未婚も、文書の宛名はすべて「様」で統一。シンプルかつ、階級差ナシ、そして男女平等なことこの上なし! でも、見知らぬ人から「おばさん」と呼ばれるのは、少々気になりませんか?

  • 小橋敦子 (ジャズピアニスト、翻訳家)
  • www.atzkokohashi.com
  • 2005年よりオランダ、アムステルダム在住

人気ブログランキングへ にほんブログ村 ライフスタイルブログ 50代の生き方へ

大関の青汁

健康

一覧を見る

食

一覧を見る

暮らす

一覧を見る

楽しむ

一覧を見る

よもやま

一覧を見る

  • 人気ブログランキングへ
  • にほんブログ村 ライフスタイルブログ 50代の生き方へ

バナー原稿 300×250 (121225)imp