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「フランス製豊胸シリコンの恐怖」 ―不安に揺れる胸の内―

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昨年クリスマスからお正月にかけて欧州を揺さぶったのはユーロ下落のニュースばかりではない。フランスの保健省が昨年12月23日、同国の企業が製造した女性向け豊胸用のシリコンバッグに安全性の問題があり、破裂する恐れがあると発表。手術を受けた国内の女性に対しシリコンを摘出するよう勧告したのだ。

問題の企業はフランスのポリ・アンプラン・プロテーズ(PIP)社。PIPは豊胸材メーカーとして世界3位だったが、同社のシリコンバッグは異常に高い破裂率を示し、医療用ではない未認可の安価な産業用シリコン(通常マットレスに使うようなものだったとか)を使用していたことが発覚。そのため製品は製造禁止となり、同社はすでに2010年に経営破綻していた。

このニュースを受けたヨーロッパ各国は大騒動。というのもフランス国内での対象者は3万人とされているが、このPIP社製の移植用シリコンは過去12年にわたって多くはヨーロッパ、そして世界65か国で約300,000個が売られたと推測されているからだ。(フランス紙Liberationより)

フランス国内では、PIPのインプラント埋め込み手術を受けた女性3万人のうちすでに500人以上が摘出手術を受けたといわれるが、フランス保健省は医療行為として手術を受けた人に対しては、摘出費用の他、再建手術も保険でカバーするとしている。このユーロ危機にフランスの国民保険が対象者へ見込んでいる金額は6000万ユーロというから驚く。

英国医薬品庁(MHRA)によると女性に施される手術のなかで豊胸手術の数が最も多いイギリス、PIP製シリコンの該当者は約5万人だという。この国では今のところ摘出勧告まではせず、PIPを含む全ての胸部インプラントが健康に及ぼす影響について監視を続ける必要ありとの見解だが、すでに250人以上が手術をした医療機関を 相手取る集団訴訟の準備をしているという。
イタリアでは政府が形成外科医と協力体制でインプラント手術を受けた人びとのリストを作成中、他のヨーロッパ諸国もそれぞれ対応、対策に追われている。また、豊胸手術の人気の高い中南米諸国では年間20~30万件の手術が行われているというが、ベネズエラではフランス同様に摘出の勧告がされる一方、ブラジルでは医療機関で今後のモニタリングの必要のみに留めている。

そして、ここオランダではPIPのインプラント埋め込み手術を受けた人の数は約1400人、対象者に向けて早速オランダ保健省と形成外科協会から「摘出すべき」との勧告が出された。だが問題はそれだけではない。オランダの企業がPIP社製の豊胸材を購入し、国内で「M-implants」という別のブランド名で販売していたというから大騒動だ。PIP製ではないからと安心していた人たちが慌て出した。現在、埋め込まれたシリコンがどこのメーカーのものかの判別が急がれている。

さて今回の豊胸シリコン事件、製品の大半が外国へ輸出されていたことから国際事件へと発展。問題のPIP社は債務不履行でとっくに社長を始め幹部全員が姿をくらましたと言われているが、創業者のジャンクロード・マス容疑者は「生命と健康を害した罪」で中米コスタリカの要請を受け、国際刑事警察機構(ICPO)から国際指名手配中である。

日本での反響が気になるところ・・・でも、こんな手術と無関係な女性たちは、そっと胸をなでおろしているかもね!

  • 小橋敦子 (ジャズピアニスト、翻訳家)
  • www.atzkokohashi.com
  • 2005年よりオランダ、アムステルダム在住

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