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『50代女性フローリストオーナー、アムステルダムで花の仕事30年』

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嬉しいことに今、アムステルダムのお花屋さんは色とりどりの美しい春の花で溢れています。オランダといえばチューリップですが、17世紀の絵画にも登場するようなクラシックなものから、日本では目にすることのないようなモダンなものまで、その種類の多さには目を見張るばかり。レースに縁取りされたような愛らしいもの、牡丹と見間違うような大輪のもの、ニワトリの鶏冠を思わせるようなもの・・・と、オランダならではの不思議なチューリップがいくつも登場しま す。そして何より驚かされるのが、そこに働くフローリストたちの知識の豊かさ。店を訪れる度に授かる彼女たちの一言がどんなに役立つことか!

「チューリップの水を替えすぎないで」というのは、写真に登場するヘルダ Gerdaからの助言。「チューリップはお水を良く飲むのよ。」彼女は、飲む=drink とまるで人間の行為のように話します。「でも、花瓶の水を一度に全部取り替えてはダメ。水が少なくなったらお水を足せばいいの。チューリップにとって水は住む家よ」と。(なるほど、大きな環境の変化を好まない、金魚鉢の水を一度に取り替えてはいけないのと同じなのでしょう。)「ガーベラは茎がくさりやすいから、水は底から3~4センチだけ入れる」。「バラの花は、冷たい水が嫌い。人肌程度の水温を好むから、寒い冬は少し温かめの水に」とも。花の種類によって、適した水の量も水温もまちまちだということです。(花瓶の水はたっぷり、きれいに、毎日替えて、といわれてきたのとはだいぶ違います)。

さて、このフローリストのヘルダも私たちと同じメリー・エイジ世代。オーナーである彼女自らが早朝5時に起きて花市場へ仕入れに行く日もあれば、車から重い花をかついで店内に運ぶなど、若い人同様に重労働もこなします。父親が花を栽培する人だったので、幼い頃から花と共に育ったそうです。「この仕事について30年、花のない生活なんて考えられない」という彼女ですが、実は若い頃はメイキャップ・アーティストなど、ファッション関係の仕事をしていたこともあったのだとか。「誰でも一度は都会に出てオシャレな仕事に憧れるものよね。私も同じ。でもしばらくしたら、やっぱり自然、花、土・・・が恋しくなっちゃった」と。

実はこのヘルダ、昨年の春に日本を旅行して以来、大の日本ファンに。「日本の春はすばらしい!ここでは見られないステキな木々や花をたくさん見たわ」と、今もその思い出にうっとりの様子。しかし、彼女はこう続けます。「でもね、ボンサイ(盆栽)やイケバナ(生け花)を見てると、なんだか辛いわ。木や花にもそれぞれ個性があるでしょ。こっち向きなさい、あっち向きなさい、と無理やり方向づけるのはかわいそうな気がして。自然に咲かせておくのが一番に思うど」――。

オランダは子供たちを教育する上で、それぞれの個性を重視することをモットーとする国。子供の才能、能力、適正をきちんと見極めて、将来の自立に向けてそれぞれの子供に合った道を進ませてやろう、というのが多くの親たちの願いだそうです。
ヘルダのコメントに、日本の教育事情がふと思い出されるのでした。

*Gerda's Bloemen :Runstraat 16, 1016 GK Amsterdam, The Netherlands

 
  • 小橋敦子 (ジャズピアニスト、翻訳家)
  • www.atzkokohashi.com
  • 2005年よりオランダ、アムステルダム在住

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