トップ »  50代女性にステキなお知らせ  »  個展を終えて〜バレエの情景展Ⅱへの軌跡〜

個展を終えて〜バレエの情景展Ⅱへの軌跡〜

個展を終えて〜踊り手の視点で描くバレエ画~:バレエの情景展Ⅱ
Drawing by SUMIRE YAMAMOTO

20120417ballet.jpg

山本すみれさんの「踊り手の視点で描くバレエ画~:バレエの情景展Ⅱ」のご案内はメリーエイジの「50代女性にステキなお知らせ」(4月17日)で掲載させていただきました。
今回はメリーエイジ世代の山本さんが48歳で美大に入学してから個展を開くまでの歩みを聞かせていただきました。

山本さんのチャレンジ精神や前向きな生き方、人との交流を楽しむ姿勢が、同世代女性の励ましになると思います。また大学生活のお話も興味深く、これから大学や大学院を考えている方の参考になると思います。じっくりとお読みいただければ幸いです。

尚、山本さんとはメリーエイジに個展の案内掲載を希望されてご連絡いただくまでは面識はありませんでした。このご縁で山本さんのすばらしい人生を知る事ができて大変嬉しく思っています。読者の方々で、個展、本の上梓、発表会など同世代女性にお知らせしたい事があれば、メリーエイジまでお知らせ下さい。多くの方々との交流がうまれる機会になれば幸いです。

メール宛先:info@merryage.net

踊り手の視点で描くバレエ画

2012年6月 山本すみれ

銀座ART FOR THOUGHTで5月21日より2週間に渡って開かれた個展「バレエの情景展Ⅱ」には、合計330人を超える方々が訪れ賑わった。連日、ヴァイオリニスト手嶋佳津子さんの「サプライズ演奏」もあり、カフェバー&ギャラリーという、「一風変わった空間」に、ギャラリーに日頃なじみのないバレエファンも、居心地良さそうに過ごして下さった。以下、美大入学から個展に至るまでのレポートである。

✻兄の死をきっかけに48歳で美大へ:

大学に入学をしたのは48歳の時です。 もともと絵はバレエよりも好きだったものの、正式にデッサンを習ったことも ない、漫画が好きなだけの少女。絵の才能には特に自信はありませんでした。 親も、美大というところには良いイメージを持っていなかったので、美大進学 など、夢のまた夢。高校卒業後は、すぐバレエ団に入りました。

入団後も、踊ることそのものよりは、振付や演出のほうに興味が向きがちで、 演じる側よりも創る側のほうが自分には向いている、と、常に感じていました。 行かなかった「大学への憧れ」もあり、美大に行けば良かったと思うことも、 時々ありました。

でも結婚後は夫の転勤もあり、子育てに追われる毎日。振付と講師とに加え、 自分のレッスンを細々と続けるのがやっと。時間的にも経済的にも、バレエの プロとしては、「キャリアの維持だけで精いっぱい」でした。 40代途中からは、母の度重なる入院や、引き取っての介護もありました。

✻46歳の時に母が亡くなりました。:

その納骨も済まないひと月後に、兄(53歳)が心筋梗塞で突然亡くなるという 悲運が起きました。2つ並んだお骨を前に、茫然自失。それが私の分岐点だったと思います。

私も、もし53歳までしか生きられないとしたら、あと7~8年しかない。 それなら後悔のないよう、やりたくてもやれなかった(やらなかった)ことを、 今、やろう!と思いました。

✻主婦と仕事と学生と:

幸い、子供たちも、それほど手もかからなくなっていました。 兄が残してくれた遺産をもらえたので、自分自身のために遣おうと思いました。 そこで、通信教育の美術大学に入学したのです。値段も安く、授業料・スクーリング代・交通費・材料費など、年間40万前後で済みました。 無試験で入れるので学生の年齢・職業・技術も様々ですが、普通の大学と同じで、 一般教養科目もあり、卒業には124単位が必要です。

音楽論や演劇論などでは、楽々単位を稼げましたが、美術史などの暗記モノは、 年齢が年齢だけに大変でした。でも、自分が実際に観たことのある建築物や、 小説や映画で得た知識が豊富にあると、若い時よりもより複合的なイメージで、 美術史を立体的に捉えることができました。社会学や美術解剖学なども面白く、 今まで社会で漠然と感じていた事を、改めてアカデミックに再確認できるのは、 社会人ならではの勉強の楽しさだと思いました。 同時期、息子2人も大学生でしたが、彼らよりは、ずっと勉強したと思います。

スクーリングは一番楽しく、この時しか会えない「同級生」と学食で食べたり おしゃべりしたり、レポートを貸し合ったり、「青春!」を満喫しました。

✻「教わる側」になって考えさせられたこと:

教授たちの中には、思いがけず、思いやりに溢れた一言をかけてくださる方も いらして、良い出会いが沢山ありました。 けれども、一部の教授たちの年配者学生に対する態度に、教わる側としては、 少々の「ずれ」を感じることもありました。

年配の初心者に教えた経験は、豊富な私でしたので、教える側の方の大変さや、 気苦労は良くわかります。扱い易い生徒になれるつもりでした。

が、いざ自分が教わる側になると、ちょっとした一言にプライドが傷ついたり、 反発したい気分にさせられたり、逆に過剰な気遣いに苦笑いしたりしました。 自分が教わる側を経験してみて初めて、「こういう表現はすべきでない」とか、 「こういうアプローチをすれば理解し易い」などと、色々気付かされることが 多く、改めて考えさせられました。

同時に、教わる側にも、もっとうまい教わり方があるのだ、とも、思いました。

バレエや絵に限らず、最近、50過ぎで新しいことを習い始める方が多いですね。

教える側は、「英国人に、日本茶の淹れ方を教えるようなつもり」、で、教わる側は、「英国人から、紅茶の淹れ方を教わるようなつもり」、で、やってみたらどうでしょうか。

教える側は、自分の知識と技術に誇りを持ちつつ、相手の持つ文化にも敬意を払う。一方教わる側も、好奇心と信頼、専門性への尊敬を忘れないのです。

教える側は、もっともっと自らの専門に対して自信を持って良いと思います。特に、若い先生にはぜひエールを送りたいのです。「自分が大好きなことだから、 皆にも好きになってほしい!」という強い気持ちさえあれば、大丈夫!  教える技術の未熟さや、若さは、全く問題にはなりません。

日々の仕事に追われているのか、自分の専門に楽しさを見出せない風の先生も、 時折見かけます。楽しむことのできない苦しそうな指導者には、大人の生徒は 眉をひそめ、ついて行くことを躊躇します。信頼以前の問題になります。

仕事としてやると、楽しいと言ってなどいられないのはわかりますが、「初心の 頃の楽しさ」を、生徒から逆に受取って、元気になってほしいと思います。

教わる側は、好奇心を失わず「まずは言われたとおりにやってみる」柔軟性と、 チャレンジ精神を持ってほしい。そして、「ちょっと解って」きても、奢らず 勉強する謙虚な気持ちが大事だと思います。

専門家が、沢山の犠牲を払いながら、汗水たらして得たものは、計り知れない、 ...凄いものです。敬意を払われて然るべきだと思います。

「どうせプロになるわけではないから」と、始めから「なんちゃって」体験を 決め込み、マイペースで教わって(?)いる人も時々見かけます。

バレエなどは特に、ヴィジュアル的なこともあるから、照れもあるのでしょう。 気持はわからないでもないけれど、それは踊りの神さまに対する冒涜です。

教わっているその時間だけでも、ティーンエイジャーに戻って、プロを目指す 気持ち(体力的・肉体的な無理は禁物ですが)になってみたら...... ...また新しい世界が開けてくると思います。

手に入らなくても、本物のダイヤモンドは、観る価値があるように。

✻卒業~そして個展の開催へ:

色々大変ではありましたが、4年間はあっと言う間で、何とか卒業できました。

「本当にやりたいことを、今やっている!」気持が、大きなモチベーションと なったと思います。個展にまで発展するつもりは全くありませんでしたが、 卒業制作にバレエの絵を描いた事で、その後、自分にしか描けない絵があるのではと、次第に思えるようになりました。

個展は、絵を観てもらいたいということもありますが、人と人との出会いの場、 人が元気になれる場、を創りたい目的があります。久しぶりに会う友人同士が 絵の鑑賞そっちのけで、会話を弾ませているのを見るのは、結構嬉しいのです。 人との関係が希薄になり、集まることが、法事やらお葬式がせいぜいやっと... という今の時代です。

「集まれる言いわけ」を提供できるのも、悪くないかな、と思います。

私の絵を見て頂くために、わざわざいらして頂いて申し訳ない、と思う反面、 「個展というきっかけで、10年来の友人と久しぶりで会えて、嬉しかった。 帰りには一緒に美味しくご飯を食べた!」とか、 「ここで新しいお友達ができた」という友人の言葉を聞くと、 「ああ、やっぱり開いて良かった!また次に向けて頑張ろう!」と思うのです。

現在57歳。踊ろうとしても、もう昔のようには、身体が動きません。

でもバレエの絵を描いていると、絵の中では、自由に踊っていられるのです。 踊りの追体験をしているような気分になり、二重の幸せを感じます。 

 

山本すみれ:プロフィール 

1955年生れ。東京都出身。

谷桃子バレエ団に1974-1989年所属。坂西(ばんざい)すみれの名前でソリストを務め、 NHKバレエの夕べ他多数出演。同バレエ団研究所教師としても指導・振付を行った。 水彩画を稲葉雪子に師事。振付と講師を続ける傍ら、2010年1月銀座J-tripアートギャラリーにての初個展「バレエの情景展」を開き、続く今回の個展でバレエ画家としてスタートしている。家族は夫と2男1女。

20余点展示した油彩画の中で、一番好評を頂いた「Standing-by"B"」絵の技術はまだまだだが、 バレエをやっているからこそ描ける絵、とは思う。

ballet01.jpg

ギャラリーArt for thought は、昼はカフェ。夜はバー&レストランになる。しゃれたタパスタパスや、美味しいパスタが食べられる、居心地の良い空間。

ballet04.jpg

カフェの一番人気「手作りジンジャーエール」で、バレエ団の先輩たちと思い出話。先輩や友人たちが、個展のために沢山の力を貸してくれた

ballet02.jpg      

「紙のバレリーナ」も、注目のまと。制作者の慶子クリスマンさんもバレエ団の元同僚。建物部分は建築家の滝澤三男さん制作。

ballet03.jpg

友人の手嶋佳津子さん(左/ヴァイオリニスト)と、佐藤弥生子さん(右/新国立劇場制作部舞踊・元谷桃子バレエ団)=彼女たちも50代。素敵な女性たちです。

3人で、企画したイベントSpecial Night は、 踊り(?)あり、唄ありの全員参加型パーティ。 同年代で大盛況の賑わいでした。アンコール曲は「チャルダッシュ」

ballet05.jpg

Art for thought の皆さまと共に記念撮影。 2週間、家庭的な雰囲気の中で暖かく支えて頂き、本当にありがとうございました! 左から小田野さん(オーナー)、手嶋さん、私、山際さん(オーナー)、三村さん(スタッフ)

ballet06.jpg

人気ブログランキングへ にほんブログ村 ライフスタイルブログ 50代の生き方へ

大関の青汁

健康

一覧を見る

食

一覧を見る

暮らす

一覧を見る

楽しむ

一覧を見る

よもやま

一覧を見る

  • 人気ブログランキングへ
  • にほんブログ村 ライフスタイルブログ 50代の生き方へ

バナー原稿 300×250 (121225)imp